胃腸科・消化器科

胃腸科外科

胃腸科外科

胃腸に関する訴えでもっとも頻繁なものは、胃痛や下痢です。また近年、テレビやインターネット等の影響か、胃がんを心配して来院される方も少なくありません。しかし、実際には、ストレスによって症状が出ている場合が多くあります。

当院では消化管の検査として、バリウム検査も行っています。バリウム検査は胃カメラ検査より安全性が高く、簡便、すぐに施行可能です。患者さんの体に負担が少ないのが最大のメリットです。したがって当院では患者さんに大きな負担となる胃カメラを第1選択にはせず、まずは胃バリウム検査から行うようにしています。
レントゲン装置は、最新式のHITCHIメディカル社製 POPULUS SOを使用しており、従来のものよりも画質が格段によく、かつ低被曝であるのが特徴です。

消化器内科のよくある疾患

胃炎

胃炎には急性胃炎と慢性胃炎があります。
急性胃炎は、急に胃に炎症やただれ・出血などが起きる症状です。みぞおち部分に痛みを感じる他、膨満感・吐き気・嘔吐などの症状があります。原因はウィルスや細菌などの感染やストレス、アルコールの過飲などです。慢性胃炎の場合は、上記の症状にに加え、食後の胃もたれや不快感、胸やけ・げっぷなどがあります。慢性胃炎の原因として、ピロリ菌が深く関わっているといわれています。

慢性胃炎の場合、おもに下記の4つに分類されます。

1.表層性胃炎 胃の粘膜表面に軽い炎症がある状態
2.びらん性胃炎 炎症で胃粘膜表面が、わずかにえぐれた状態
3.萎縮性胃炎 炎症で粘膜の萎縮を生じた状態
4.肥厚性胃炎 炎症で胃の粘膜が厚くなった状態

いずれも長期間にわたり、繰り返された炎症から胃粘膜・胃腺に変化が生じたもので、場合によっては胃がんと関連する可能性もないとはいえません。ピロリ菌がいるかどうかを調べるために胃カメラ検査中に組織をつまみ検査することがあります。

機能性胃腸症(FD)

機能性胃腸症は、内視鏡検査などで胃にこれといった症状がみられないにもかかわらず、胃のもたれや痛みといった症状があることをいいます。この症状の患者さんは辛い症状があるために、「きっとなにか悪いところがあるはずだ」と思うのですが、検査ではなにも見つからないために困っているという方も少なくありません。

機能性胃腸症による胃の機能が低下することによって、さまざまな症状を引き起こす病気です。胃炎や胃潰瘍のように局所的に病気があるわけでなく、胃の働きそのものが落ちてしまうのが特徴です。胃の動きを良くする薬を処方することで、改善することもあります。実際の診療ではこの病気である方は少なくありません。

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群とは、腹痛や腹部不快感等の腹部症状や、または便秘や下痢といった便通異常を症状とします。ただし、その症状の原因となる障害を認めない機能性の疾患であることが特徴です。機能性とはいえ、その症状は深刻で、重度になると生活の質そのものを低下させることも少なくありません。とくに、学生やフレッシュマン等の若年層に多いことから学業や就業に支障をきたすことも多く報告されています。ストレスとの関連性もあるのではないかといわれています。

過敏性腸症候群には、その便通の状態から「便秘型」と「下痢型」、そしてその両方を交互に繰り返す「交替型」とに分けられています。
「便秘型」はその名の通り、便秘が多く便があったとしても出にくく残便があるのが特徴です。便秘のために下腹部の痛みや不快感、おなら、腹鳴、膨満感、吐き気などを伴います。
「下痢型」は、場所や時を問わず下痢が起こりやすいのが特徴です。授業中や仕事中、電車に乗っている最中などに生じる場合、患者さんのQOLは著しく低下すると考えられます。

治療は、便性状に合わせた薬剤を用います。場合に応じ、抑うつ感や不安を抑える薬を使うこともあります。

逆流性食道炎

逆流性食道炎とは、その名の通りなにかの原因で胃液や胃の中身が食道に逆流してしまうことによって、食道の粘膜に炎症が起こる病気です。胃液に含まれる胃酸は強い酸性であるため、胃の粘膜と異なり胃酸に対向する機能を持たない食道の粘膜は、胃酸の逆流によって容易に粘膜に炎症が起きます。逆流性食道炎は、消化機能が低下しやすい高齢者に多く発症し、なかでも女性に多いとされています。

逆流性食道炎の症状にはいくつかありますが、なかでも「胸やけ」・「嚥下障害」・「呑酸」は3大症状です。ほかにも、逆流性食道炎の症状のひとつであるせきは、喘息と関係があるともいわれています。胃から食道へと胃酸が逆流する途中で、気管支内に胃酸が吸入されてしまうために、胃酸によって気管支が刺激を受けて喘息の症状が悪化してしまうからです。

逆流性食道炎の治療としては、薬物療法、手術療法、生活習慣の改善などがありますが、基本的には手術療法は最後で、生活習慣の改善などから取り組むことになります。「暴飲暴食をしない」「食べてすぐに横にならない」などのルールを守るだけでもだいぶ改善することも多いのも特徴です。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃や十二指腸の粘膜は、ふだんから強酸性の胃酸を含む胃液にさらされているため、胃液によって粘膜が溶けないようにするための仕組みを持っています。

しかし、ピロリ菌や非ステロイド性抗炎症薬などにより、胃粘膜の機構が傷害されて粘膜が傷ついたときに、そこも胃液が入り込み、胃や十二指腸の粘膜や組織の一部を溶かしてしまうのが、胃潰瘍・十二指腸潰瘍です。

胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、どの層にまで傷が達しているかによって、Ⅰ度からⅣ度の4段階に分類されます。Ⅰ度は傷が粘膜層のみ、Ⅱ度は粘膜下層まで、Ⅲ度は筋層まで、Ⅳ度は漿膜まで達している場合です。Ⅰ度の粘膜層のみの傷は「びらん」といい、Ⅱ度以上の傷は「潰瘍」と呼びます。また、Ⅳ度以上に悪化すると、壁に穴が開いた状態(穿孔)になることもあります。潰瘍の深さを見きわめることは、潰瘍の重症度を診断するのにとても大切です。

内視鏡で潰瘍を観察してみると、これらの潰瘍の進行度を診断することができます。潰瘍の進行度は、大きく分けると以下の3つに分類されています。

活動期 活動期のうち、とくに急性期ですと、潰瘍のある周囲の炎症は強くなります。それに伴い潰瘍部位は深くなり、凹凸ができたりします。修復されると、潰瘍周囲の炎症は軽くなり、かつての潰瘍部位は白色等になります。
治癒期 治癒期になると、潰瘍の周りの炎症は次第に治まり、潰瘍そのものが小さくなっていきます。さらに治癒が進むと、さらに小さく浅くなり、白くなっていた部分も小さくなります。ほぼ治った状態です。
瘢痕期 潰瘍が治癒したあとは、白くなっていた部分がなくなり、赤い傷跡が残っている状態を経て、さらに白色っぽい傷跡に変わります。
   
pageTop